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磐楠(イワクス)と苔玉(コケダマ)1

 ご無沙汰でございます。

 

オリンピックが終わり、甲子園が始まりました。

 

 ウチの中3の息子にとっては、

部活の大会が終わり、受験生lifeが始まった・・・って感じで、

 

その親の私にとっても、

息子の部活の大会は、それなりに親たちも、完全燃焼し、

3年間の、よい締めくくりができたと思います。

子どもたちの頑張りはもちろん、先生のご指導、保護者の皆さんのフットワークの軽い

熱心なご協力のおかげだと思います。本当にありがとうございました。

 

 息子は吹奏楽部・・・はしゃぐ時はやたら元気なのに、演奏はやや慎重なウチの息子は、さておき、

はしゃぐ時もやたら元気だが、演奏はもっと元気な頼もしい仲間たちのおかげで、

私も久々に、大変な感動をいただきました。

 

 自由曲「鳥磐楠船乃神(とりのいわくすふねのかみ)」

は、福岡県出身の作曲者による、日本書紀にある同名の神をテーマにした曲で、

打楽器群の魅力が光る、海上自衛隊のテーマソングともなっている、

なかなか、感動的な曲です。

 

 しかし、この曲、海上自衛隊の金ぴかの鉄の塊の空母をイメージしたのでは、

作者の真意は、伝わらない。

 

 ・・・日本書紀の書かれた時代、使われていた船は、もちろん木製

しかも、この名にあるのは、楠(くすのき)らしい。

 

 クスノキ・・・というと、アロマセラピストの私でなくても、

あの、樟脳(ショウノウ)の香り、カンファーの香りを、

すぐに思い浮かべる方も多いはず。

 

・・・そう、この船は、楠で造られた、樟脳の香りに包まれた船であり、

しかも、磐楠・・・というからには、多分、神社等で御神木とされる様な

根の下に大きな岩があり、その岩の上のまたいで根が張っている・・・という様な、

スゴいクスノキ!

 

しかも、南国九州のクスノキですから、私達が普段、

掛川の「ことのまま神社」の大楠に、驚いて、へばりついて、涙を流している、

あのクスノキを、大きく上回るかも知れない。

 

 クスノキの香りは、ショウノウとして、古来より、衣類の虫よけに使われ、

カンファー・・・と言えば、現在は、筋肉痛の薬を思い浮かべる方も多いかも知れませんが、

古代は、樹そのもの、葉っぱそのものが、丸々「くすり」であったため、

「クスノキ」の名がある様です。

(ロリエ、ローレル、肉桂、シナモン・・・なんかも、クスノキ科ですよネ)

 

 また、山奥の神社には、よく、根が岩をまたがって生えているクスノキの御神木がありますが、

普通に土に根を張る樹よりも、

自分のチカラを、もっと発揮しなければ、養分を吸って成長する事ができませんから、

より一層、樹は、自分のチカラを発揮する・・・つまり、精油を分泌します。

 

 うまく行けば、普通の土に根を張るより、岩からのミネラルを吸収し、

より強くたくましいクスノキに成長できることでしょう。

 

 そんな御神木の大磐楠の在り処を伝え、導いた、一羽の白鷺。

 

その大磐楠をいただき、船を造り、海に漕ぎ出した、古代の人々。

日本書紀が書かれたのは、「白村江の戦い」から70年後・・ですから、

朝鮮半島の戦の為に援軍の船を出した記憶は、

福岡県出身の作者の遺伝子には、

消すに消せない、国防の記憶として、刻まれているのかも知れません。

 

 こんな大磐楠の船の、樟脳の香りまで

恋人を残して、異国の戦地に漕ぎ出す兵士の心まで伝えてくれた、彼らの演奏に

鳥肌が立ったのは、私だけではないでしょう。

 

本当にありがとう。