世の中の騒がしさとは裏腹に・・・
今年は ひっそりと、桜が綺麗だ・・・。
今年も、静岡まつりの季節がやってくる・・。
小さな頃、静岡まつりと言えば、一年中でも最高の楽しみだった❣
お浅間さんの山に、まだリフトが通っていた頃の話である。
七夕豪雨でリフトが流されることになるとも知らぬ、その年のお祭りは、
広商戦とのセンバツ準優勝!・・という快挙を成し遂げた
野球ユニフォームのかっこいいお兄さんたちの、パレードも重なり、
始めて子どもだけでお祭りを見に行った、小学4年生になる私の胸は、
おじいちゃん、おばあちゃんに連れられてお祭りを見に行っていた今までとは、
段違いに、高鳴っていた‼
肩に金銀のモールを付け、様々な見たこともない楽器を奏でる
かっこいいお兄さん、お姉さん達の姿にも、憧れた❣
特に、一糸乱れぬ動きの、ボーイスカウトのお兄さんたちの楽隊は、格別だった!
どうやら有名な人らしい、壇上の大御所さまやお姫様にも、ちらりと気にはなったが、
何も知らない田舎の新4年生には、
昨日までテレビで試合をしていた野球のお兄さんたちのパレードや
楽器を奏でながら行進する、モールで飾られたお兄さんお姉さんの輝きには
勝るものは、なかった・・・。
いや、そうでもなかった・・・!
行列の中には、
かっこいいお馬さんと同じくらい、
目を引くおじさんと、お兄さんがいた!
分厚い牛乳瓶の底みたいなめがねをして、
籠ではなくて、タライに乗っている おじさん・・・
「大久保彦左衛門」・・と、書いてある!
そして、どう見ても、お侍ではなさそうな、
ねじり鉢巻きをして、着物のすそを端折り上げ、
担いだ天秤棒のタライには、なんと!生の魚が入ってる!
この人こそは、「一心太助」!
この2人のことは、去年、おじいちゃんとおばあちゃんに教わったから、知ってノダ‼
「との!おたわむれが過ぎまするゾ!」・・の、大久保彦左衛門と、
「2本差しが怖くて、田楽が食えるかってんだ!」の、一心太助なのだ!
おじいちゃんとおばあちゃんに、
この2人は、偉いのだ・・・と、教わった!
相手がどんなに偉いお殿様でも、言うべきことは、はっきり言える、大久保彦左衛門、
相手が刀を刺したお侍で、自分は刀なんか持ってないお魚やさんでも、
困っている人を救うためなら、平気で食ってかかる、一心太助❣(テレビでもやってた!)
そういう偉い人たちだから、この行列に加えられているのだ・・・と。
・・・数年後、私は夢を叶え、静岡まつりの際は肩にモールを付け、
楽器を奏でながら行進するお兄さんお姉さんの一人に加わったため、
その後の行列に、果たして、大久保彦左衛門翁と、一心太助兄が
いつまで、一緒に行列に加わってくれていたのか・・の記憶は、定かでない・・。
今年もお祭りの季節がやってくる・・・。
昭和40年代のお祭りの様相とは、随分あっさり気分になった・・・とは思うが、
中止・・になるのは、ご準備の方々のご心中察して余りある・・・。
・・・が、まつり・・という形には、顕われなくても、
彦左翁や太助兄の、軸のあるスピリットは
今回の静岡の様々な判断に、顕われている気がする。
穏やかさが売りの静岡人、軸の強さを、誇りに思う春である。